スチームパンクの世界観


そこはスチームパンクの世界であった。

私は2010年、憧れていた歴史が幾層にも重なり合うロンドンの路地裏を散策していた。
ふと目に付いた石造りの小橋をくぐってみることにした。小橋をくぐり終え、大きな広場に抜けた時、光景が一変していた。

蒸気機関と遺伝学とが大きな科学技術の発展で変貌を遂げた世界に、我が身は立ち尽くしていたのだ。

高層煉瓦積みの建築物で広場は囲まれ、幾数十の鉄骨階段が建物の外壁を這う様にくすんだ空に消えゆく。
その階段を囲む様に、蒸気を発しながら黄銅輝く真鍮の蒸気管が天に向いつつ無数に分岐し、建築群の壁に突き刺さる。煉瓦敷きの広場の中央には、鉄骨と煉瓦構造の蒸気機関室があり機関士達がエンジンに石炭をくべ、蒸気機関トラックというべき乗物から石炭を降ろし機関室の建物内にてきぱきと格納していく。この機関室は私のいる街区の重要な動力源であった。

ここは私の知らないもうひとつの19世紀末のロンドン。
一際この大都市を着飾り闊歩する貴婦人たちの艶やかさに私は目を奪われた。そして彼女たちがこぞって身につける、主に歯車をモチーフに作り出された「装飾機関宝飾品」に特にのめり込んだ。
元のロンドンに戻る方法を探し続けた三年間、宝飾品工芸士の元で「装飾機関宝飾品」の製作法を学んだ。

このサイトではスチームパンクアクセサリー「装飾機関宝飾品」の製作、販売を中心に行っています。「装飾機関建築」のオブジェ製作、図面化、等の過程を情報に乗せてお届けします。
「装飾機関宝飾品」が異形の19世紀末ロンドンとこちらの世界をつなぐ重要な扉になる現象は、お客さまの声からも私のもとに。。。